économique du comportement
今日の日経の朝刊の経済教室に行動経済学が特集されていました。
人間は必ずしも合理的に行動するわけではないが、合理性からの乖離には一定の法則があると考え、それを発見しようとするのが行動経済学である。
これは、非常に「目から鱗」の発想ですね〜。
小職は学生時代に経済学を専攻していたのですが、その際には、思いっきり合理的な人間っていうのを仮定して、ある制約のもとで以下に効用を最大化するかっていうことにひたすら注力してました。ミクロ経済学の世界ですね。例のラグランジェの未定乗数法とかそっち系のやつです。
で、行動経済学に関して、かるくgoogleで検索してみると以下のような資料を発見しました。
大阪大学 社会経済研究所の池田新介氏の
"ひとはなぜ後悔するのかー時間割引率の行動経済学ー"
http://www.iser.osaka-u.ac.jp/rcbe/event/ikeda.pdf
この資料の内容を簡単にまとめてみると
後悔とは何か?
最初に立てた計画が後になって最適でなくなる。
これは「時間非整合性」
(例1) 老後の備えをおろそかにして、定年後の貯蓄が少なくて後悔する。
(例2) カード破産
なぜいま「後悔」か?
これまでは、人間は合理的だという大前提のもとで、経済の動きを解明しようとしていた。が、現実を見てみると、カード破産等の、合理的な人間はやらなそうな現象が多数見受けられる。
これはいったい何故でしょう?
なぜ後悔するのか?
時間割引率(時間選好率)が原因。
時間割引率とは?
-
- 主観的な要求利子率
- 「せっかちさの程度」
また、同じく日経新聞2005/03/07の経済教室によると
人々が現在と将来の状態をどのように評価しているかを表す尺度である。将来の消費がもたらす満足度を小さく評価することを時間割引率が高いという。俗にいう「せっかち」である。
なるほど。確かに次のような質問(同じく日経新聞より)をされたとすると
あなたはA,Bのどちらを選びますか
A: 2日後に35,000円受け取る
B: 9日後に35,200円受け取る
小職はこれをAと答えました。
あなたはA,Bのどちらを選びますか
A: 3ヶ月後に35,000円受け取る
B: 3ヶ月と1週間後に35,200円受け取る
小職はこれをBと答えました。
が、よーく考えるとこれってどっちも1週間待つと200円もらえる。
つまり、年率に換算するとどちらも
なのに、直近かどうかで、選好が変わるんですよね。面白いですね〜。
大阪大学の時間割引実験では結果として
近い将来の時間割引率 > 遠い将来の時間割引率
つまり
近い将来のせっかち度 > 遠い将来のせっかち度
ということになるわけです。
双曲割引
で、上記の実験結果は「双曲割引」といって、時間がたつと人々の好みが変わることを意味しています。
先ほどの実験の例では、最初、3ヶ月後と一週間後に35,200円を選んだ人が、実際に3ヶ月たつと200円の利子では1週間待てないってことを意味してます。
この双曲割引というのは、近い未来のせっかち度が高いということですから、経済現象としては、カード破産といったものが例としてあげられます。
最後に実験の結果のおまけとして「時間的割引率は、被験者の経済的・社会的属性にどのように依存するか?」というのがあるのですが
時間割引率(忍耐力のなさ)は、
1. 所得・富が大きいほど、低い
2. 男性の方が、高い
3. 年齢が高いほど、高い
4. 理系出身者の方が、低い
5. 失業などの生活不安が大きいほど、高い
6. 競争心が旺盛なほど、低い
7. 国の政策を当てにしていないほど、低い
(Ikeda and Ohtake (2004)より)
非常に興味深いですね〜。
男性の方が、忍耐力ないっていうのにはある意味納得する点もあったりします。。