要約(3):ソフトウエア企業の競争戦略
http://d.hatena.ne.jp/hidekoji/20050505
先日の続きです。
ターゲットとすべきマーケット
- Horizontal (水平的)
特定の業種などに関わらずほぼ全てを対象としている
- Vertical (垂直的)
ある特定の業種や特定の機能そして特定のプラットフォーム(OSやハードなど)等にターゲットを絞っている
Horizontal (水平的) |
Vertical (垂直的) |
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有利な点 |
対象となるマーケットはVerticalに比べて大きいので、潜在的な売上のチャンスはVerticalより多い。 |
自社が得意とする特定の産業(や特定の機能やプラットフォーム)だけに注力したソフトウェア作りができるため、Horizontalなマーケットでビジネスをするよりは少ない投資ですむ。 |
不利な点 |
Horizontalなマーケットを対象とするには、全ての産業での要件を満たすべく、最大公約数的なアプローチでソフトウェアをビルドしなければならない、よって巨大な投資とスキルを必要とする。 |
Horizontalのマーケットよりは、対象範囲が狭くなるため、その分潜在的な売上のチャンスはHorizontalより少ない。 |
Michael A. Cusmanoのお勧めとしては、いきなりHorizontal市場で勝負するのではなく、まずVertical市場で勝負し、ある程度成功を収めてからHorizontal市場に進出すべし、とのことです。
これを裏付けるような事例を一つ紹介したいと思います。先日、日本のProducs Companyの例として紹介したワークスAPを取り上げてみます。ワークスAPははじめ、HRMS(Human Resource Management System:人事管理システム)領域に特化したパッケージ・ベンダーとしてスタートし、日本のHRMSマーケットでの確固たる地位を築きました。これはまさに、日本のHRMSというVertical市場で勝負して、SAPやOracleといった、ERPというHorizontal市場で戦うベンダーに局所戦で勝利したと言えるでしょう。日本のHRMSというVerticalな市場で勝利を収めたワークスAPは、今度は会計のパッケージも開発し、http://www.worksap.co.jp/では自身をERPパッケージのワークスAPと名乗っています。これはHRMSというVerticalなマーケットからERPというHorizontalなマーケットに進出してきたことを意味します。ワークスAPがHorizontalなERPマーケットでどれだけ成功できるか非常に興味深いところです。